派遣先管理台帳の作成・保管・通知について

派遣先は、派遣先管理台帳を作成、保管する必要があります。

また、その法定項目の一部を派遣元に通知する必要があります。これは、派遣先が派遣労働者の就業の実態を的確に把握し、また、その記載内容を派遣元に通知することにより派遣元において適切な雇用管理を実施するなどの目的で、派遣先に義務づけられています。

今回は、2020年の労働者派遣法改正による追加記載項目を含めた、派遣先管理台帳の作成や保管、通知の方法についてまとめました。


派遣先管理台帳の記載事項

派遣先は、派遣先管理台帳を事業所ごとに派遣労働者それぞれについて作成する必要があります。派遣先管理台帳に記載すべき法定項目は次のとおりです。

1.派遣労働者の氏名

2.派遣元事業主の氏名又は名称

3.派遣元事業主の事業所の名称及び所在地

4.派遣就業した事業所の名称及び所在地並びに組織単位

5.派遣就業した事業所の所在地

6.派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項

7.派遣先責任者及び派遣元責任者に関する項目

8.雇用保険・社会保険の加入の有無

9.労使協定対象派遣労働者か否かの別(2020年法改定により項目追加)

10.無期雇用労働者か有期雇用労働者か否かの別

11.派遣労働者の就業実績(就業日/始業・終業・休憩時間/従事した業務内容※)

12.派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度(2020年法改定により項目追加)

13.教育訓練を行った日時及び内容

14.紹介予定派遣に関する項目

 ・紹介予定派遣である旨

 ・(派遣労働者を特定する行為をおこなった場合)特定行為の内容など

 ・採用結果

 ・職業紹介を希望しなかった場合、または職業紹介を受けた者を雇用しなかった場合には、その理由

15.派遣受入期間制限を受けない業務については次の事項

 ・60歳以上の派遣労働者の場合

  →60歳以上である旨

 ・休業代替業務の場合

  →休業する労働者の氏名

  →休業の開始、および終了予定の日

  →休業する労働者がおこなっていた業務内容

 ・プロジェクト業務の場合

  →プロジェクト業務に該当する旨

 ・日数限定業務の場合

  →日数限定業務に該当する旨

  →当該業務が1ヶ月におこなわれる日数

  →派遣先の通常の労働者の1ヶ月間の所定労働日数

※日雇派遣をおこなう場合で、17.5業務に該当する場合には、条番号及び号番号の記載も必要です。17.5業務とは、政令で定めるソフトウェア開発や機会設計、翻訳や通訳などの専門性の高く、適切な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務のことをいいます。


派遣先管理台帳の保管期間

派遣先は派遣先管理台帳を、当該派遣労働者に係る派遣期間の終了日から3年間保管する必要があります。派遣契約の更新をしている場合の起算日は、その派遣労働者に係る最終の派遣期間の終了日になります。


派遣先から派遣元への就業実績の通知について

派遣先は派遣元に対し、派遣先管理台帳の法定項目の一部を1ヶ月ごとに1回以上、一定の期日を定めて派遣労働者ごとに通知をする必要があります。また、派遣元から請求があった場合にも通知しなければなりません。

◆通知方法

派遣元への通知は、以下のような方法でおこないます。

・書面を交付する

・書面のデータを電子メールに添付し送信する

・電子メールに記載して送信する

◆通知項目

派遣元への通知項目は以下のとおりです。

1.派遣労働者の氏名

2.派遣就業した日

3.派遣就業した日ごとの始業し、及び終業した時刻並びに休憩した時間

4.従事した業務の種類・内容

5.従事した事業所の名称及び所在地その他派遣就業をした場所並びに組織単位

6.派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度(2020年法改正により項目追加)


「派遣先管理台帳の作成・保管・通知」でよくある質問


Q.派遣先管理台帳はデータ保管でもいいですか?

A.データ保管されても構いません。ただし、いつでも取り出せるようファイルを整理しておく必要があります。


Q.派遣先管理台帳の作成単位は、部署ごとですか?派遣労働者ごとですか?

A.派遣先管理台帳は、派遣労働者ごとに作成する必要があります。


Q.同一の派遣労働者を受け入れる場合の派遣先管理台帳の保管期間の起算日は、個々の派遣契約終了日からですか?複数回契約更新を行った場合の最終の派遣契約終了日からですか?

A.派遣先管理台帳の保管期間の起算日は、派遣労働者の最終の派遣契約終了日から3年間です。


Q.2年前に派遣就業が終了している派遣労働者の派遣先管理台帳は、外部の倉庫で保管してもよいでしょうか?

A.派遣先管理台帳は原則、事務所で保管する必要があります。ただし、すぐに取り寄せできるのであれば、外部の倉庫で一時保管することができます。


Q.派遣先管理台帳の作成、保管や記載事項の派遣元への通知を忘れた場合、ペナルティーはありますか?

A.派遣先管理台帳の作成、保管や、記載事項の派遣元への通知をおこなわなかった場合、30万円以下の罰金が科せられる場合があります。



まとめ

2020年派遣法の改正で追加された項目を含め、派遣先管理台帳の作成、保管、通知についてご紹介しました。派遣法の改正に伴う追記項目や、その他運用に際して不明な点や判断に迷うことがありましたら、アレスの担当までお問い合わせください。


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